妊娠高血圧腎症になった私の入院生活③ 〜緊急転院、32週での出産へ〜

わたしが妊娠・出産時に経験した「妊娠高血圧腎症」や「帝王切開」「早産」「低出生体重児」。入院時にたくさん検索したのですがなかなか同じ経験をした方の情報がなく、とても不安でした。同じ経験をしている方の不安が少しでも和らぐように、私個人の経験ですが、ブログに残したいと思います。
入院前の妊娠生活についてはこちら
緊急転院の決断
ある日、担当の医師からはっきりとこう言われました。
「NICUのある大きな病院に、すぐに転院しましょう。自然分娩で正産期まで待つのは、難しい可能性があります。」
それは、突然すぎる通告でした。しかも自覚症状がまったくなかった私は、まるで夢の中の話のように聞こえて。
念のためということで、救急車での搬送が決定。自分の意思では何もコントロールできない現実に、気づけば手が震えていました。
夫に連絡すると、すぐに仕事を休んで駆けつけてくれて、転院手続きや入院準備を引き受けてくれました。その姿に少しだけ安心できたものの、不安のピークはそこから始まったのです。
転院後の入院生活
転院先の病院では、血圧はやや高めながらも安定傾向に。少しホッとしたのも束の間、今度は腎臓の数値が悪化しているとの知らせ。
「このまま腎機能が落ちれば、母体優先で帝王切開になります」と伝えられ、自分には何もできないという事実に押しつぶされそうになりました。
そんな中、妊娠32週1日目の朝6:30。突然、大量の破水。しかも出血が混じっており、驚いてナースコールを押す手が震えました。
エコーと内診の結果、まだ羊水は十分にあるとのこと。医師からは「あと2週間はお腹の中で育てたい」と説明され、正直驚きました。破水=すぐ出産だと思っていたからです。
赤ちゃんの肺の成長を促すため、ステロイド注射を打ってもらい、翌日も追加で接種。
それでも不安は尽きません。
32週2日目、また早朝に破水。そして夜、お腹の張りに合わせて動悸が激しくなり、息ができず「このまま意識を失うかも」と思うほどに。
内診をしてもらい、胎盤の状態や子宮の張りなどもチェック。今のところは大丈夫とのことでした。
医師から「32週を超えたら、赤ちゃんの命に関わるリスクは大きく下がる」と教えてもらい、少し安心。NICUの説明を受け、赤ちゃんが過ごすかもしれない未来のことを考えるようになりました。
【第3章】そして、出産へ
32週3日目の朝。尿検査の結果、私の腎機能が限界に近づいているということで、医師から「今日、帝王切開で出産になります」と告げられました。
出産方法の選択肢はなく、心の準備もままならないまま、手術の流れが始まります。
朝食抜き、水分も制限され、手術着に着替え、尿道カテーテル、剃毛。あれよあれよという間に準備が進んでいきます。
9時頃、「そろそろ手術室に移動します」と言われ、ベッドのまま手術室へ。
手術台の上で、脊椎麻酔のために何度も注射。うまく姿勢が取れなかったからか、何回も打ち直しに。
背中に何かが入り込んでくるあの異様な感覚、そして全身が徐々に感覚を失っていく怖さは、今でも忘れられません。
手術が始まり、首から下は見えないように目隠し。
お腹がぐっと引っ張られるような感覚がしたかと思えば、医師の声。
「生まれるよー!」
そして、赤ちゃんの元気な産声。
その瞬間、涙が止まりませんでした。やっと、やっと会えたんだ。
カンガルーケアはできなかったけれど、出産後すぐに小さな手に触れることができました。
とても小さくて、けれど命の重みがしっかりと伝わってきて、また涙。
後で聞いた話では、赤ちゃんは羊水に混じった血をたくさん飲んでいて、生まれてすぐ大量に吐かせたそうです。
でも私の目には、元気そのものに見えました。
その後、胎盤処理や洗浄などの処置が続き、私はぼんやりと眠りに落ち、気づけば病室へ戻っていました。
麻酔が効いてハイな状態のまま、夫に「生まれたよ」と伝えて、ようやくほっとした気持ちで眠りにつきました。
✍️つづく|産後から退院まで
妊娠高血圧腎症と向き合いながら、32週で迎えた出産。
このあとも、NICUでの赤ちゃんの成長や、母体の回復など、まだまだ続くストーリーがあります。
次回は「産後の入院生活と、母子ともに退院できるまで」のお話をお届けします。